出産後のお母さんと赤ちゃんをサポートする「産後ケア」。
産後に一変する心と身体や、赤ちゃんとの生活を想像して、「大丈夫かな?」と不安になることもありますよね。
また、産後に手伝ってくれる家族が少ない方や、赤ちゃんを預けて少しの間でも安心して休みたい、なんて思う方も多いでしょう。
そんな時に活用したいのが、「産後ケア」です。
この記事では、最近注目されている産後ケアについてご紹介します。
産後ケアの内容や、日帰りや宿泊などの種類について、気になる点を詳しく解説していきますので、産後ケアを活用して、赤ちゃんとの新しい生活を楽しみましょう。
産後ケアとは?
産後ケアとは、産婦人科や助産院、産後ケアホテルなどで受けられる産後の母子を対象としたサポートのことです。
心や身体に不調がある方や、育児に不安を持っている方、家族からの十分なサポートを受けられない方を対象としています。
「産後は家族からのサポートがあるし、産後ケアを利用することはないかも」と考える方も多くいらっしゃるかもしれません。
どうしても、産後ケアと聞くと敷居が高く感じますよね。
しかし産褥期の心身の不調や育児に対する不安は、誰にでも起こりうること。
家族からの支援が手薄になる時期もあるかもしれません。
出産後の6〜8週間は、「産褥期」と呼ばれる期間。
出産によって身体に受けたダメージは回復しておらず、会陰切開の傷が痛む、後陣痛が続くなど、お母さんはまだまだ安静に過ごさなければなりません。
それに加えて、夜間も続く赤ちゃんのお世話による睡眠不足、ホルモンバランスの変化などの影響で、心身ともに不安定な状態となります。
そして「産後うつ」にもつながる危険もあります。
最近では、産後ケアの利用に自治体から補助が支給される場合が多いですが、利用前に申請が必要となります。
いざという時のために、産後ケア利用の申請はしておくことがおすすめです。
「産後ケアを利用する予定はなかったけど、急に体調を崩した時に利用してみたら本当に助かった!」なんてことも、実際にありますよ。
産後ケアにはどんなサポートがあるの?
産後ケアで受けられるサポートには、どんなものがあるのでしょうか。
主なサポート内容についてご紹介します。
実際に対応できるサポートは施設によって異なりますので、産後ケアを受ける施設に事前に確認しておくとよいでしょう。
食事の提供
後述する日帰り型や宿泊型と呼ばれる産後ケアでは、手作りの食事が提供されることがあります。
産褥期は貧血になりやすいため、鉄分を多く摂取したいところですし、身体の回復には栄養バランスの取れた食事が不可欠です。
赤ちゃんに母乳を与えている場合、母乳に良い影響を与える食事を心がけたいと思うでしょう。
しかし、赤ちゃんのお世話で忙しく体力が戻らない中、栄養のある食事を用意することが難しいお母さんも多いはずです。
そんなとき、産婦人科などの産後ケア施設で温かい食事が出てくると、とても嬉しいです。
施設によっては、体に優しいおやつが出ることもあります。
授乳サポートや乳房のケア
産後ケアでは、助産師や看護師による授乳のサポートを受けられます。
授乳体勢や授乳しやすい方法についてアドバイスを受けたり、搾乳・乳房のケアについて指導してもらうこともあります。
退院後に授乳方法についてアドバイスをもらう機会が少ないため、不安なお母さんも多いと思います。
また赤ちゃん用の体重計がある施設であれば、授乳前後の体重を計り、授乳量の測定をしてもらうこともできます。
赤ちゃんの預かり
産後ケアの主な目的のひとつは、お母さんの休息です。
授乳の時間以外は赤ちゃんを預かってもらうことも可能です。
施設によっては、預かり中にミルクを与えてもらい、お母さんは長時間ひとりで休むこともできます。
産後は赤ちゃんのお世話で睡眠不足になりがちです。お母さんがひとりでゆっくりと休息できる時間は大変貴重です。
育児サポートや育児相談
赤ちゃんとの生活が始まってみると、抱っこやおむつ替え・沐浴・寝かしつけなど、慣れないことがたくさんあります。
そんなときに、産後ケアでじっくり指導を受けることができると、とても安心です。
他にも体重の増え方やウンチの様子など、赤ちゃんのことで気になることがあれば気軽に相談することができます。
心のサポート
産後はホルモンバランスの影響で、気分が落ち込んだり、理由もなく涙が出たり、赤ちゃんがかわいく思えない、などメンタルの不調が起こる場合があります。
そんなときは、産後ケアで相談してみましょう。
助産師さんに話を聞いてもらうことで、赤ちゃんと笑顔で過ごせるようになるかもしれません。
お母さんの心の健康が何よりも大切です。
産後ケアの種類って?
産後ケアには主に日帰り型、宿泊型、訪問型の3種類があります。
それぞれどのような違いがあり、どう活用したらいいか、解説していきます。
日帰り型(デイケア)
産婦人科や助産院などの施設に日帰りで行き、サポートを受けることができます。
時間は各施設や自治体で決められていることが多いですが、日中過ごすことができ、昼食が提供される施設もあります。
赤ちゃんの対象月齢は施設によって決まっていることもありますので、必ず事前に確認しましょう。
宿泊型(ショートステイ)
産婦人科や助産院などで、お母さんと赤ちゃんが泊まりで産後ケアを利用することができます。
1泊の場合、1日目の昼食と夕食・2日目の朝食と昼食などが提供される場合が多いでしょう。
出産した産婦人科が産後ケア事業を行っているようであれば、退院日以降もそのまま宿泊型の産後ケアを利用し、1週間程を産婦人科で過ごせる場合もあります。
また、人気の施設は先まで予約で埋まっていることもありますので合わせて確認しておきましょう。
訪問型(アウトリーチ)
アウトリーチという言葉はなかなか聞き慣れないですが、「訪問型」の産後ケアのことを呼びます。
訪問型の産後ケアでは、助産師など専門家が自宅に訪問して、1〜2時間程度を目安に母子のサポートをしてくれます。
実際に赤ちゃんと生活をする自宅で育児のアドバイスをもらえることが、訪問型のメリットです。
実際に授乳の様子を見てもらいながら授乳方法や体勢についてアドバイスをもったり、沐浴指導や不安なことについて教えてもらうこともできます。
赤ちゃんを抱えて外出するのが難しい時期には、とてもありがたいサービスになります。
訪問型の産後ケアは、生後1年まで利用できること場合が多いようです。
産後ケアを行っている施設は?
産後ケアを行っている施設について、ご紹介します。
産婦人科
産後ケアを行っている代表的な施設は、産婦人科のある医療機関です。
妊婦健診や分娩を取り扱う産婦人科では、空きのベッドがあれば日帰り型や宿泊型の産後ケアを受け入れていることがあります。
ただし分娩の予約が立て込んでいる時期には、ベッドが空いていない等の理由から、産後ケアを断られる場合もあります。
個室がある産婦人科は、比較的人気が高いようです。
希望の産後ケアを行っている産婦人科を見つけたら、早めに予約しましょう。
産婦人科の産後ケアは、出産したばかりのお母さんや赤ちゃんのケアに慣れている助産師や看護師のサポートを受けられます。
赤ちゃんを新生児室で預かってもらえたり、お母さんと赤ちゃんに対して24時間のサポート体制が整っているので安心です。
助産院
一般的に助産院は産婦人科より規模が小さくなりますが、アットホームな雰囲気の中で利用することができます。
助産院は産後の身体の回復サポートだけでなく、新生児や乳児の扱いに慣れている傾向があるため、お母さんの育児の悩みや不安などにも寄り添ってくれます。
温かいサポートを受けることで、お母さんは安心して十分な休息をとることができるでしょう。
自治体から委託された助産師など
各市区町村では産後ケア事業の促進のため、助産師などに産後ケアを委託していることがあります。
自治体から周知される産後ケアの案内に、利用できる助産師の連絡先などが書いてある場合もあります。
主に訪問型の産後ケアとなり、助産師はお母さんの困りごとに寄り添い、サポートしてくれます。
地域に頼れる助産師がいると、子育てする上で大きな安心感につながりますね。
産後ケアホテル
産後ケア専門の宿泊施設があります。
料金は産婦人科などと比べて割高となりますが、質の高いサービスを受けることができます。
母子へのサポートだけでなく、ご家族みんなで過ごせることも特徴のひとつです。
上のお子さんが遊ぶキッズスペースが充実しているホテルもあり、退屈することなく一緒に過ごせることも嬉しいです。
栄養バランスのよい食事の提供はもちろん、マッサージやエステといったケアが充実していたり、赤ちゃんの沐浴サービスや、夜間の預かりもあるので、お母さんはたっぷり睡眠と休息をとることができます。
また、リゾートホテルのような雰囲気の産後ケアホテルもあり、産後の一生の思い出となるようなリラックスタイムをご家族みんなで過ごすことができます。
まとめ
今回は、出産後の母子のサポート事業である「産後ケア」についてご紹介しました。
産後ケアは、お母さんの身体的・精神的な回復を支え、赤ちゃんとの絆を深めるために非常に重要です。
産後の気分の変動や不安を軽減し、助産師や専門家のサポートを受けることで、より前向きな気持ちで育児に取り組むことができます。
赤ちゃんのお世話に不安がある、家事まで手が回らない、栄養バランスの取れた食事をとりたいなどのお母さんのサポートが必要な際は、希望に合った産後ケアを見つけて活用することはとても大切です。
産後ケア事業を推進している自治体も多く、補助が支給されることもあるため、自治体のホームページや産婦人科等で確認しておくこともおすすめです。
育児は長期間にわたるため、産後の大切な時期にお母さんの心と身体の健康を守ることは、何よりも重要なケアとなります。
お母さんが笑顔で、わが子とすてきな時間を過ごせますように。