フリースタイル分娩ってどんな出産?

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フリースタイル分娩ってどんな出産?

フリースタイル分娩とは、妊婦さんが自分の好きな体位や環境で出産できるスタイルのことです。

一般的には、ベッドに仰向けになるのではなく、畳の上などで立ったり、座ったり、ひざをついたりと、自由に動きながら分娩を進めていきます。このスタイルは、妊婦さんがリラックスしやすく自分のペースで出産を行えることを重視しています。
この記事では、フリースタイル分娩について詳しく知ることができ、メリット・デメリットまで理解することができます。自分に合った分娩方法を選ぶ際の選択肢の一つとして、フリースタイル分娩に関する知識を少しでも深めていただけたらと思います。

フリースタイル分娩を選ぶ理由は?

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自由な体勢での出産や出産時の環境を重視したいといった自然派志向の妊婦さんは、フリースタイル分娩を選択することが多いでしょう。
自分のペースでリラックスできる空間を求めたり、パートナーと一緒に過ごす時間を大切にしたりする方にもフリースタイル分娩はおすすめの分娩スタイルと言えるでしょう。
また、医療介入を最小限にしたいと考える人もフリースタイル分娩を選ぶことがあります。
ここでは、妊婦さんがフリースタイル分娩にしたいと思う理由をお伝えしていきます。

自由な体勢や環境を重視したい

フリースタイル分娩は、自由な体勢や環境を重視する方に適した出産方法です。
妊婦さんが自分の快適な分娩体勢や望む空間を選ぶことができ、リラックスした状態で出産を迎えることができます。
そのため、出産時のリラックス感や自分のペースを重視することができ、妊婦さんが自分の体の感覚を大切にしながら、より自然な形で出産を迎えることができます。
フリースタイル分娩は自然の力を最大限に活かして出産する方法のため、妊婦さんが安心できる環境で赤ちゃんを迎えることができます。フリースタイル分娩では、体の自然な働きを促進し、より安心感を得られる方が多いでしょう。

医療介入を最小限にしたい

妊娠と出産は自然な生理現象であり、できるだけその過程を大切にしたいと考える方が多いようです。
医療介入を必要最小限にし、自分の体の感覚に耳を傾け、自分のペースで出産を進めたいと考える方は、フリースタイル分娩を選択することがあるでしょう。
不必要な医療介入を避けることで合併症や副作用のリスクを減らすことができると考えられていることも、フリースタイル分娩を選択する要因の一つとなります。

フリースタイル分娩の体勢

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横向き

畳の上などで横向きになって出産する方法です。
片足を助産師さんやご家族に介助してもらい、背中を丸めながら出産します。
横向きになって出産することで、体への負担を軽減しリラックスできます。

四つん這い

両手をついて、背中を丸めながら出産します。
背中に負担をかけず、重力を利用して赤ちゃんを下に押し出すことができます。また、骨盤が広がりやすくなり、出産の過程がスムーズに進むことも期待できます。
四つん這いの体勢は、長時間になると体力が持たないこともあるため、産む直前に自然と四つん這いの体勢になり、そのまま出産となることもあります。

座位

座ったまま、背中を家族に支えられて出産するスタイルです。
重力の力を借りやすく、赤ちゃんが産まれてこようとする力を後押ししてくれます。
背もたれのある椅子やバースボールに座ることで、よりリラックスした姿勢を保つこともできます。

その他にも出産の進行状況や一人ひとりの妊婦さんに合った体勢があるため、助産師さんのサポートでお産を進めていくことになるでしょう。

フリースタイル分娩ができる出産場所

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フリースタイル分娩に対応している病院にはどんな場所があるのでしょうか。いくつかご紹介していきますので、自分に合った病院を事前にリサーチしておきましょう。

産婦人科病院

自然分娩を重要とし、フリースタイル分娩を導入している産婦人科も増えてきています。
このような病院は、妊婦さんの希望を尊重する方針を持つ病院が多いようです。医師や助産師さんが、妊婦さんの希望を尊重し、出産後も授乳指導や母子の健康管理が行われるため、安心して育児に臨むことができます。
気になる病院がある場合は、病院のホームページでフリースタイル分娩対応か確認してみましょう。

助産院

助産院とは、妊娠・出産・産後のケアを専門とする施設で、助産師さんが中心となって運営されています。また、少人数の妊婦さんを受け入れているため、個別のサポートが充実しています。
妊娠経過に問題がなく、リラックスできる家庭的な環境での出産がご希望の場合、助産院はおすすめの出産場所と言えます。
助産院は医療的な対応が難しいため、緊急時には近隣の病院と連携して対応できる体制を整えているでしょう。

院内助産

病院と助産院の良いところをまとめた出産場所に、院内助産というシステムがあります。
院内助産とは、病院内で助産師が中心となって行う出産方法になります。妊婦さんが助産師さんと密に連携をとり、より自然な形で出産をサポートしてもらうことができます。
また、病院内で行われるため、必要に応じて医療的な介入が迅速に行える環境が整っていることも安心できる点となります。
医療的な安全性を確保しつつ、より自然な出産体験であるフリースタイル分娩を希望する妊婦さんにとって、魅力的な選択肢の一つとなります。

フリースタイル分娩のメリットは?

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好みの体勢を選べる

陣痛が始まると、お腹の痛みは何時間もかけて、ゆっくりと強くなっていきます。
痛み方は妊婦さん一人ひとり異なるため、横向きが楽な方や、立っていると気が紛れると感じる方もいらっしゃいます。
そのため、助産師さんや医療スタッフが妊婦さんの希望に合った、いきみやすい出産体勢に誘導してくれます。赤ちゃんを出産する際は、全身の力でいきまなくてはなりません。
妊婦さんは、いざ出産する時になってから自分のいきみやすい体勢がわかる場合もあるため、分娩台で上を向いた体勢で固定されるのではなく、力を入れやすい好みの体勢を選べるフリースタイル分娩は大きなメリットとなります。

リラックスして出産できる

妊婦さんが自分の好きな体勢や方法で出産できるため、リラックスした状態で出産へ臨むことができます。
出産が始まると緊張して、体の筋肉がこわばってしまう方もみえます。出産への不安を感じて、こわばってしまわないよう、フリースタイル分娩を取り扱っているところは、病院という雰囲気を感じさせないように配慮している場合が多いでしょう。
例えば畳の部屋で布団に横になり、自宅にいるような雰囲気の中でのアロマセラピーなど、緊張をほぐし、リラックスできる環境を整えてサポートしてくれるところが多いでしょう。医療器具も見えないように置かれているなど、安心感を与えるようにしているところもあります。
フリースタイル分娩は、環境を整えることで妊婦さんがリラックスして、自分の力を活かせる出産スタイルと言えるでしょう。

家族と協力した出産経験になる

出産は1人で痛みに耐えるものと考えている方もいるのではないでしょうか。
しかし、フリースタイル分娩では「出産時、家族の存在が心の支えになった」と思われる方が多くいらっしゃいます。身体への大きな負担は妊婦さんにかかりますが、陣痛の痛みに耐えているとき、近くで腰をさすってくれたり、口に食べ物を運んでくれたり、一緒に呼吸法を行ったりしてくれる家族がそばにいてくれることは、何よりの安心感となり心の支えとなるでしょう。
分娩室では体験できない、家族と一緒の出産スタイルは、お母さんと家族、それぞれにとってかけがえのない想い出となるでしょう。
これはフリースタイル分娩ならではの体験となります。

フリースタイル分娩のデメリットは?

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誰でも選べる出産スタイルではない

フリースタイル分娩は、合併症やリスク要因がない妊婦さんが対象の出産方法となります。
妊娠経過が順調であることが前提のため、「妊娠中に体重が増えすぎてしまった」「血圧が高い」「赤ちゃんに何か問題がある」などの場合は、安全を優先する必要があります。
妊婦さんが自分の体調や妊娠状況をきちんと理解し、適切に対処できる能力があることも重要となるため、自己管理を怠らず出産に向けて準備していくことが大切となります。
また、フリースタイル分娩は医療介入を行わない出産方法となるため、薬物による痛みの緩和が難しくなります。痛みを軽減するための方法(バースボール・温湿布など)を用意し、自分に合った対処法を見つけ、痛み管理の準備をする必要もあります。

フリースタイル分娩が叶わない場合もある

最初はフリースタイル分娩を希望していても、途中で状況が変わるケースがあります。
分娩中に緊急の医療介入が必要となる状況が予想される場合や安全が保証できないと医療者側が判断した場合は、フリースタイル分娩は実施せず、分娩台の出産に切り替わる可能性があります。
これらをあらかじめ理解しておくことも大切です。万が一希望通りの出産方法とならなくても、お母さんが無事に出産を終え、赤ちゃんが無事に産まれてくることが一番大切であることを念頭においておきましょう。
また、フリースタイル分娩は自宅や特定の施設での分娩が多いため、緊急時に迅速な医療サポートが受けられない可能性があります。リサーチした病院の設備や環境の整備が整っているかどうかや、緊急に対応した病院との提携の有無などを事前に把握しておきましょう。

まとめ

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フリースタイル分娩とは、妊婦さんが自分の希望や体調に応じて自由な体勢や環境で出産を行う方法です。
ご自身が安心して出産できる病院をしっかりと事前に調べ、直接質問し、不安材料を減らしておくことが大切です。妊婦さんがストレスを軽減し、自然な出産ができるといいですね。
フリースタイル分娩に限らず、色々な分娩方法の中から、自分の求める出産スタイルに応えてくれる出産場所を見つけて、赤ちゃんとのかけがえのない時間を過ごすための準備をしていきましょう。

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