ママのおなかの中にいる赤ちゃんは、ママが食べるものの栄養をもらって成長していきます。そのため、妊娠中に食べるものや食事管理は赤ちゃんにとって非常に重要であるといえます。
また、母体を健康に保ち、出産を迎えるためにもきちんとした食事を摂ることはとても大切です。
今回は、妊娠中の食事についてお話していきます。食事の内容や初期・中期・後期と時期別の食事量、また気を付けるべきポイントなどをお伝えしていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
妊娠中に積極的に摂りたい栄養素
まずはじめは、妊娠期間中に不足しがちであることから、積極的に摂取したい栄養素を3つご紹介します。
葉酸
野菜や果物に多く含まれるもので、妊娠初期に必要量を摂取することで、赤ちゃんの神経管閉鎖障害リスクを予防する効果が期待できます。その他ママにとっても、貧血予防やつわりの軽減効果、免疫力を高めるという効果もあると言われていることから、妊娠中、特に初期には意識して摂取すべき栄養素だといえます。
具体的には、ホウレン草、ブロッコリー、カボチャ、いちご、バナナなどの野菜や果物類に多く含まれています。料理や食事に取り入れやすい食材が多いため、摂取がしやすいのは嬉しいポイントです。
鉄分
妊娠中は、血液供給量が増えることから、貧血になりやすくなります。そのため、鉄分の摂取でそれを補っていきましょう。鉄分は特に妊娠中期から後期にかけて多く必要とされます。
鉄分が多く含まれている食材には、レバー、ひじき、小松菜、大豆製品などが挙げられます。レバーに鉄分が多く含まれていることをご存じの方は多いかと思います。実際にレバーの鉄分含有量は、他の食材と比べてもかなり高いものとなっています。
とはいえ、レバーは好き嫌いが分かれやすい食材であることから、苦手である場合には別の食材を使用して摂っていくようにすれば問題ありません。
カルシウム
カルシウム摂取量は、妊娠中と通常時で変わるものではありませんが、そもそも基本的に日本人はカルシウムが不足している状態にあります。カルシウムは、赤ちゃんの骨や歯の発育に役立つほか、ママの体を維持するうえで重要な役割を担います。
牛乳、ヨーグルトなどの乳製品、厚揚げや豆腐などの大豆製品、ひじきやししゃもなどに多く含まれる栄養素になります。
妊娠中の食事量(初期・中期・後期)
続いては、妊娠中の食事量を初期、中期、後期に分けてご紹介していきます。
昔は、妊娠中は赤ちゃんの分まで2人分食べよう!といったような話もありましたが、過度に食事を摂取するとかえって妊娠高血圧症を引き起こすリスクなどを引き起こす可能性があります。
実際に、基準を超える体重増加があった場合には病院から食事制限の指導を受けるという場合もあります。
妊娠初期・中期・後期と期間別に必要となる食事量が変わっていますので、その点にもご注目ください。
妊娠初期はほぼ同じ量
妊娠したからと言ってすぐに食事量を増やす必要はありません。妊娠初期の段階では、食事量は通常時と同じ量で構わないとされています。
特に妊娠初期は、つわりで食べられなかったり食べても吐いてしまうということも多いでしょう。食事が全然とれておらず、赤ちゃんにちゃんと栄養が行っていないのではないかと心配になるかもしれません。
しかしながら、妊娠初期はまだ赤ちゃんが小さくそれほど多くの栄養を必要としていません。ですので、初期の時期に食べられない日が続いても、赤ちゃんは大丈夫です。それよりも、妊娠初期の段階ではママの体を気遣いましょう。
食べられなかったとしても、水分をきちんととることを意識して、ママが倒れるようなことのないように気を付けてください。
栄養面に関しては妊娠初期以降、つわりが収まってから考えれば十分に間に合いますので安心してください。
妊娠中期はいつもよりも多めに摂取
続いては妊娠中期の時期を見ていきましょう。
中期は初期よりも、必要摂取カロリーが増加しますが、とはいっても中期で+250キロカロリー程度であるため、それほど大きく食事量が変わるわけではないというのがわかるでしょう。また、妊娠中期はつわりが落ち着き、食欲が増加する傾向にあります。
したがって、中期は食事を増やすことを意識するというよりも、きちんとバランスよく食事を摂るということ、そして体重管理をすることを意識しておくことが大切だと言えます。
中期に体重がぐっと増加してしまい、産院で注意されるというケースも多いようです。したがって、中期は体重管理には十分に気を付けましょう。
妊娠後期は中期+アルファ
最後に妊娠後期には、妊娠中期に+200カロリー程度が目安とされています。妊娠後期にはむくみや急激な体重増加が気になる時期でもあります。妊娠後期まで適正な体重を維持することは、ママと赤ちゃんの健康を維持するうえで重要なポイントとなります。なお、妊娠前の通常時の体重によって妊娠中に増やしてよい体重量は変わってきます。
まずは、初期の段階で自分の体重がどの位置に属するのかを理解したうえで、後期まで続けて体重管理を行っていきましょう。
妊娠中に食べてはいけないもの、控えるべきもの
続いては、妊娠中に控えるべき食材や飲み物などについてお伝えします。妊娠中はあくまでもママだけの体ではなく、赤ちゃんを抱えているということを忘れることなく、いつも以上に体のことを考え大切にするべきだといえます。
生もの
刺身や寿司、生卵、ナチュラルチーズ、たらこといった生ものは食中毒のリスクがあります。妊娠中は、通常時と比べ免疫力が低下していることから、食中毒のリスクも高まります。
食中毒は、万が一の場合胎児に感染して流産や死産を引き起こしたり、胎児に障害を与える可能性もあります。したがって、そのようなリスクを避けるために、妊娠初期から生ものは避けるべきだといえます。明らかな生もののほか、ステーキにはしっかりと中まで火を通す、野菜や果物はしっかりと洗うなど食材のきちんとした管理にも妊娠後期まで目を向けていきましょう。
アルコール飲料
言うまでもありませんが、妊娠中はアルコール飲料は厳禁です。アルコールには、赤ちゃんの低体重や脳障害などを及ぼすリスクがあります。
妊娠前お酒を飲む習慣があった人でも、妊娠中は赤ちゃんのために断酒しましょう。妊娠に気づいた、初期の段階からやめるようにします。
コーヒーなどのカフェイン飲料
コーヒーなどのカフェイン入り飲料は、アルコール飲料の様に妊娠中全くとってはいけないということではありません。1日200mg程度、カップ2杯程度であれば問題ないとされています。
過度のカフェイン摂取は、胎児の早産や流産の可能性を高めます。また、妊娠中はただでさえトイレの回数が増える傾向にあるところに、カフェインを摂ることでさらに利尿作用が高まると考えられています。もともとカフェインには眠気冷まし効果があるのに加え、利尿作用が高まることで睡眠を妨げる可能性もあります。
適正量の摂取を意識するとともに、コーヒー以外にも緑茶やチョコレートなどほかの食材や飲料にも含まれていることを理解して調整するようにしましょう。
なお、ママ向けのノンカフェインコーヒーや緑茶なども販売されています。必要に応じて試してみましょう。
水銀を多く含む魚
クロマグロやキンメダイ、マカジキなどの魚には水銀が含まれており、過度な摂取は胎児の発達に影響を与えると言われています。1週間に切り身半分~1切れ程度が適正量と言われていることから、基本的には摂取しないという意識を持っていると良いでしょう。
なお、マグロと聞くとツナ缶もダメ?と思う人もいるかもしれません。ツナ缶に関しては問題なく食べられますので、安心してください。
辛い物
キムチやタバスコ、その他のスパイス類は摂りすぎると胃に負担がかかってしまいます。妊娠中は通常時と同じ生活をしていたとしても、身体に不調が生じやすい時期です。できるだけ体をいたわることを意識しましょう。
加工肉・インスタント食品・スナック菓子
ハムやソーセージ、また、カップ麺などのインスタント食品、スナック菓子等は共通して塩分が多く使用されています。摂りすぎると妊娠高血圧症を引き起こすリスクがあります。
つわりが落ち着いた、妊娠中期・後期にはつい食べ過ぎてしまうということもあるでしょう。そのため特に妊娠中期・後期には注意が必要です。
塩分過多はむくみの原因にもなるため、摂りすぎには気を付けましょう。
妊娠中の食事で意識すべきこと
続いては、妊娠中に食事を摂るうえで気を付けるべきこと、意識したいポイントをご紹介していきます。
栄養のバランスを意識する
健康的な食事で重要なのがバランスです。米やパンなどの主食となる炭水化物、肉や魚などの主菜となるタンパク質、野菜やキノコ類などを用いた副菜、汁物を意識して揃えることで、日本の食事の基本である一汁三菜が完成し、バランスの良い食事が完成します。
毎日3食このような食事を揃えることや、つわりで食欲がわかないようなときにこれを実現するのは難しいでしょう。毎日できないからと言って、赤ちゃんへの栄養がすぐに足りなくなるものではありません。また、かえってそれがストレスとなってしまっては逆効果です。
あくまでも栄養バランスを意識すること、出来ることから始めるということで構いません。妊娠生活は長期間にわたるものですので、マイペースで焦らずに進めていきましょう。
規則正しい食生活を
妊娠前までは一日2食が当たり前だったり、おなかがすいたタイミングで夜中でも食事を取っていたという方もいらっしゃるかもしれません。そういった方は是非妊娠を機に食生活を見直してみてはいかがでしょうか?不規則な食生活は、身体にも悪影響を及ぼすほか、食事だけでなく生活自体も不規則になりがちです。
赤ちゃんが生まれると、授乳やおむつ替えなどで昼夜を問わず、赤ちゃん中心の生活がしばらく続くでしょう。妊娠後期までにある程度自分の生活を整えておくことで、出産後の生活リズムを整えることにもつながっていきます。
薄味に慣れる
塩分や糖分はおいしさを感じられる要素であるために、つい多く取ってしまいがちかもしれません。しかし、先にお伝えしたとおり塩分過多は妊娠高血圧症など、糖分過多は妊娠糖尿病のリスクを伴います。
体重管理にも影響してくるものですので、薄味に慣れることや素材の味を楽しむなど、妊娠をきっかけに味付けや調味料に頼らない食事のとり方ができるようになるとよいですね。
妊娠中は体をいたわる食事を心がけよう
以上、妊娠中の食事に関して気を付けるべきことや積極的に摂取したい栄養素、避けるべき食材等についてご紹介してきましたがいかがだったでしょうか?
妊娠初期・中期・後期ごとに摂取する食事量は変化していくものであることもご理解いただけたと思います。
妊娠中、赤ちゃんそしてママの体の健康を維持するうえで食事は非常に重要な役割を担います。
今回お伝えしたことを参考にして、ぜひ健康的な食生活を目指してください。